路線詳細説明
大阪線詳細路線図
瀬戸急大阪線の起点、大阪梅田駅はJR大阪駅南側に位置する。地上2階には大阪線の優等ホームがあり、地下1階には大阪線各停系統および宝塚線ホームがある。この駅は、小田急新宿駅のような2層構造を持つ。一見すると宝塚や明石、姫路行きの列車が発車する関西近郊路線のターミナルのようだが、たまに入線する岡山行きの特急を見れば、瀬戸急が関西を超え、中国地方に到達する私鉄であることを思い出す。岡山まで続く線路がここから始まるのだ。
大阪梅田駅を出ると、優等系統の線路が地下1階のレベルに下がり、各停系統の線路と合流する。ここから尼崎の先まで、外側に各停系統、内側に優等系統が走る方向別複々線となる。線路は大きく右にカーブしてJRの線路をアンダーパスすると、再び上り坂となる。梅田スカイビルを右手に、築堤上に上がると、大淀駅に到達する。大淀駅は今はなき阪神北大阪線との乗換駅であった。普段は閑散としているが、淀川花火大会の日には混雑する。
←淀川花火大会開催時に、淀川を渡る急行電車。
(大淀~歌島)
大淀駅を出ると、そのまま淀川を渡河する。淀川を渡ると、線路はゆるやかに左に曲がりながら下り勾配となる。再びJR東海道本線と阪神高速池田線をくぐり、上り勾配となると、目の前に歌島駅が現れる。歌島駅は、高架対面式2面4線ホームを持つ。歌島駅そばの道路地下には、1997年に開通したJR東西線が走っているが、JR東西線には駅は設けられていない。JR東西線に乗り換えようとすると、約600m南に下った御幣島駅に向かう必要がある。
歌島駅を過ぎると、線路は神崎川とその支流である左門殿(さもんど)川を越える。この左門殿川が大阪府と兵庫県の府県境となっている。川を渡った直後、国道2号をオーバーパスし、左手から阪神本線が近づくと、杭瀬駅に到達する。杭瀬駅も大淀駅と同じ高架対面式2面4線の駅だ。周辺は奈良時代に栄えた港町であったが、現在はその面影は見られない。高度経済成長期には工場が乱立していたが、今は再開発されてマンションが建ち並んでいる。なお、阪神杭瀬駅とは200m弱の距離がある。
←杭瀬のマンション群を走る準急電車。
早朝の風景。
(歌島~杭瀬)
杭瀬駅を出て尼崎駅に向かう途中、阪神本線は大物を経由して南に下るが、瀬戸急大阪線は国道2号に並走し、直線に敷かれている。瀬戸急尼崎駅は阪神尼崎駅と中央公園を挟んで並んでいる。元々同じ会社であったため、隣接していてもおかしくないが、線形を優先してこの配置になったと考えられる。なお、JR尼崎駅とは直線でも2km以上離れており、乗り換えができる距離ではない。
尼崎駅を出てすぐ、阪神本線は再び南に逸れていく。瀬戸急大阪線は国道2号に平行して西宮に向け、比較的直線に敷設されている。尼崎駅西側には、高架下にアーケード型商店街がある。旧阪神浜田球場の裏手を過ぎると、複々線のうち一番南側の線路を残し、他の3本の線路は上り坂となる。一番南側の線路が他の線路の下を潜ると、大島駅に到着する。この駅は2層式の駅で、2階が宝塚線大阪方面、3階が宝塚線宝塚方面および大阪線ホームとなっている。
大島駅を出ると、宝塚線が北にそれ、大阪線は複線となり、武庫川を渡る。武庫川は尼崎市と西宮市の境界であり、ここから西宮市となる。武庫川を渡った後、地平レベルに戻るが、途中で南に分岐する線路が見える。これは甲子園線へとつながる連絡線である。地平レベルに下ると、上甲子園駅に到着する。大阪線は対面式2面2線の駅である。大阪線のほか、甲子園線にもホームがあるが、200m程住宅街を歩かなければならず、改札外乗換となる。また、上甲子園周辺は、西宮七園の一つである甲子園地域にあり、高級住宅街が広がる。ランドマークとなる甲子園会館は阪神間モダニズムを代表する建物である。
←武庫川を渡る普通電車。
(大島~上甲子園)
上甲子園駅を出ると、国道2号に沿って走るようになる。名神高速道路と阪急今津線をアンダーパスした後、再び高架となる。JR西宮駅前を通り過ぎると、西宮駅に到着する。瀬戸急西宮駅も尼崎駅と同様に、阪神西宮駅とはバスターミナルおよび駅前広場を挟んで反対側に位置している。付近には「えべっさん」の名で親しまれる七福神の一柱、えびすを祀る西宮戎神社がある。なお、西宮の名前の由来はこの西宮戎神社ではなく、市内にある廣田神社のことである。
←西宮駅西側から大阪方面を見た風景。
普通電車が大阪に向け走っていく。
(上甲子園~西宮)
西宮駅を出た後も、瀬戸急大阪線はしばらく国道2号に並走する。桜で有名な夙川を渡ると、再び地平レベルに戻るり、西宮市から芦屋市に入る。天井川で有名な芦屋川を渡るために線路は上り勾配になり、芦屋駅に到達する。芦屋駅は芦屋川をまたぐ形状となっている。芦屋といえば関西随一の高級住宅地であるが、近年は高齢化が進み、隣の西宮市に圧されている。なお、阪神芦屋駅は約300m南側に位置する。
←夙川を横切る普通電車。
春には満開の桜を眺めることができる。
(西宮~芦屋)
芦屋川を渡ると、地平レベルに戻る。しばらく進むと、芦屋市と神戸市の境界に到達する。住宅街をまっすぐ進むと、本山駅に到着する。対面式2面2線の駅で、周辺には閑静な住宅街が広がっている。
本山駅を出ると、線路は上り勾配となり、築堤上を進む。上りきると、難関進学校として有名な灘中学校・高校の南側を通り、天井川の住吉川を渡る。住吉川と並行してして六甲ライナーの線路があるが、瀬戸急・六甲ライナーの両社とも駅は設置されていない。高架を進み、南側から阪神本線が再び近づいてくると御影駅に到着する。御影駅は高架島式2面2線の駅である。酒どころである灘五郷の一つ、御影郷に位置している。駅高架下には澤之井があり、酒造りに必要な湧き水が豊富であることを象徴している。
←住吉川をまたぐ急行電車。
六甲ライナーと交差するが駅は設置されていない。
(本山~御影)
御影駅から阪神石屋川駅までは、瀬戸急大阪線の南側に阪神本線が並走し、線路別複々線の様相を呈する。阪神石屋川駅は阪神側には駅があるが、瀬戸急側には駅はない。その影響で瀬戸急の線路も阪神の駅がある部分は線路が曲がっている。阪神石屋川駅を過ぎると、阪神本線は一旦南に離れ、瀬戸急大阪線は阪神石屋川車庫を挟んで北側を走る。阪神石屋川車庫を過ぎたところで、瀬戸急琵琶駅に到着する。高架島式1面2線の駅である。琵琶駅を名乗っているが、当駅は烏帽子町にある。琵琶町は国道2号を挟んで北側の地名である。琵琶町は地形がビワに似ていることから名づけられた。なお、烏帽子町は地形が烏帽子に似ているからというのが、その由来である。
←御影発車後の準急電車。
御影~阪神石屋川間は阪神と並走する。
(御影~琵琶)
琵琶駅を出ると、再び徐々に阪神本線が再び近づいてくる。しかし、阪神本線は地下となっており、その姿を確認することはできない。国道2号をオーバーパスすると、線路は下り勾配となり、掘割となったところで岩屋駅に到達する。岩屋駅は半地下の島式1面2線の駅であり、瀬戸急のホームの隣には阪神本線のホームがある。阪神本線は駅の前後では地下を走るが、この駅のみ掘割の半地下構造となっている。岩屋駅の浜手側には、1990年代後半に再開発されたHAT神戸が広がっている。
岩屋駅を出ると瀬戸急大阪線は地下に入り、阪神本線と同じトンネルの中を進む。途中で阪神本線春日野道駅を通過するが、瀬戸急大阪線側には駅が設けられていない。国道2号の直下を進むと、神戸の中心地である三宮駅に到達する。この駅は、阪神本線と同じ地下島式2面3線の駅である。三宮駅周辺は、私鉄のターミナルが集まったことで発展した地域であり、地上には百貨店を含む商業エリアが広がっている。
三宮駅を出ると西側でJRと交差し、兵庫県庁前まで到達すると山手通駅である。この駅は地下対面式2面2線の駅であり、駅名は明治期に開通した新道に由来する。
そのまま山手幹線の直下を地下で進むと、大倉山駅に到達する。駅前には小丘の大倉山を擁する大倉山公園があり、駅の南側には楠木正成を祀る湊川神社がある。正月には多くの参拝客で賑わう。
大倉山駅の次は湊川駅である。湊川公園直下に位置する地下島式2面4線の駅であり、駅周辺には、明治期に湊川の旧流路を整備してできた街である新開地がある。戦前は神戸の一大商業地・オフィス街として栄えていたが、三宮地域の発展に伴い、湊川周辺は没落していった。瀬戸急大阪線の前身である新阪神はここで終点となり、同じく瀬戸急神姫線の前身である神姫急行に乗り入れていた。そのため、瀬戸急大阪線はここまでとなり、この先は瀬戸急神姫線に続く。
●大阪線全体路線図