宝塚線の起点は大島駅であり、宝塚線の全列車が大阪線の大阪梅田方面へ直通している。大島駅の構造は高架2層式であり、2階が宝塚線上り（大阪方面）、3階が宝塚線下り（宝塚方面）と大阪線ホームとなっている。

　大島駅を出ると、宝塚線は大阪線と別れ、北へ向かって進路を取る。高架で国道2号を越えると、宝塚線下り方面の線路と上り方面の線路の高さが同一レベルとなり、そのまま地上に降りてくる。地上に降りた後、JR東海道本線と名神高速道路をアンダーパスすると、南武庫駅に到着する。地上相対式2面2線の駅である。開業当初は近隣の集落名から守部駅と称していた。しかし、阪急の武庫之荘住宅地開発が成功し、広域地名として武庫之荘の名前が認識されるようになったため、瀬戸急側の駅名を南武庫と改称してしまった。「南武庫之荘」駅としなかったところは、最後の矜持だろうか。

 　南武庫駅を出るとすぐに上り勾配となり、阪急神戸線をオーバーパスする。再び地平レベルに戻り、山陽新幹線をくぐる手前に時友駅がある。南武庫駅と同様、地上相対式2面2線の駅である。駅名の由来となった時友の元々の集落は、山陽新幹線の北側に存在していた。駅周辺は閑静な住宅街が広がっている。駅南側のマンションには武庫之荘の名前を冠するものも見受けられ、阪急のブランドに負けている面が見え隠れするが、「北武庫」駅に改称しなかっただけマシかもしれない。

　時友駅をさらに北上すると、宝塚線は伊丹市に入る。国道171号をアンダーパスし、しばらく進むと昆陽池駅に到達する。昆陽池駅は地上島式2面3線の駅である。この駅には昆陽池車庫が併設されており、宝塚線の車両のみならず、大阪線の車両も留置されている。瀬戸急電鉄の大阪側を受け持つ大規模な車両基地となっている。駅名の由来である昆陽池は、本来のサイズの半分が埋め立てられ、昆陽池公園として整備されている。昆陽池の中には日本列島を模した人工島が作られている。

　昆陽池駅を出ると、右手に昆陽池車庫を見ながら線路はゆるやかに北西に進路を取る。宝塚市に入ったところで、安倉駅に到着する。地上相対式2面2線の駅である。宝塚市はその名前に「塚」の字が入るとおり、古墳が非常に多い。安倉駅の近くにも安倉高塚古墳が存在する。

　安倉駅を出ると、そのまま北西に進み、国道176号をアンダーパスする手前に小浜駅がある。小浜駅は地上相対式2面2線の駅である。小浜という名前は、平安時代まで瀬戸内海が入り込み、周辺が浜であったことに由来する。15世紀には周囲より高い土地を利用し、寺内町として発展した。三方を大堀川が囲み、出入りする街道には門が設けられていたため、小浜城とも呼ばれた。17世紀には、有馬街道・京伏見街道・西宮街道が交差する交通の要衝として、小浜宿が成立していた。

　小浜駅を出て国道176号をくぐると、国道と並走するようになる。旧宝塚ファミリーランドの跡地を左手に進み、阪急宝塚線のガード手前に到達すると、宝塚駅に到着する。地上頭端式1面2線の駅である。JR宝塚駅や阪急宝塚駅からは少し離れており、阪急宝塚駅に比べると非常にこじんまりとしている。周辺はファミリーランドのほか、戦前から映画製作所や歌劇場を阪急は開発しており、阪急の文化的中心都市となっている。瀬戸急宝塚線は阪急エリアへの殴りこみを目的として開通した路線であるが、実際はこの街において存在感が薄いのが現状である。

●宝塚線全体路線図